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メタバース建築|建築事業での活用事例


デジタルの進化とともに仮想空間の活用が拡大する中、建設業界もその波に乗り、新たな展開を迎えています。

本記事では、建築業におけるメタバース活用の事例を詳しくご紹介します。


1. メタバース建築とは?

「メタバース建築」は、デジタル空間における建築物の概念を指します。従来の物理的な制約を超越し、仮想の世界で創り上げられた建築物や環境が、私たちの新たな日常やビジネスに影響を与えています。


これは単なる3DモデルやVR空間ではありません。メタバース建築は、建築の原則を取り入れ、仮想の土地上に機能的で美しい構造を築くことを目指します。利用者はその空間を自由に探索し、対話的な体験を通じて新しいアイデンティティを構築することができます。


メタバース建築は、リアルとデジタルが融合した未来の建築の一環として捉えられており、その可能性はまだまだ広がりつつあります。これから解説するプラットフォームや建築事業が、この未知の領域にどのように挑戦しているのか、見ていきましょう。



2. メタバースと3DCGの違い

メタバースと3DCGは、デジタル技術を活用する点で共通していますが、そのアプローチや目的において異なる特徴があります。


メタバースは、仮想のデジタル空間を構築し、そこでユーザーがリアルタイムで対話や活動ができるようにデザインされた環境です。これは、現実社会の模倣ではなく、独自のルールや法則に基づいたデジタルユニバースを作り上げるものです。ユーザーはアバターを通じてメタバース内で他のユーザーとコミュニケーションをとったり、物理的な法則に縛られない新しい体験を楽しむことができます。


一方、3DCG(3次元コンピュータグラフィックス)は、物理的な法則や現実の模倣を目的としたデジタル画像の制作技術です。主に映画やゲーム、建築デザインなどで使用され、現実の光、影、質感を忠実に再現することが求められます。3DCGは静止画や動画、仮想現実(VR)空間の構築に用いられ、主に一方向の情報提供が中心です。


メタバースは対話的なデジタル空間の構築と共有を目指す一方で、3DCGは視覚的な情報の表現や模倣が主な目的です。



3. 建築メタバースの活用事例

① ビジネス | comony

Comony(コモニー)は、建築プロジェクトにおけるコラボレーションと意思疎通を進化させるために開発されたメタバースプラットフォームです。

建築関係者は、3Dモデルを使用してプロジェクトのデザインや進捗状況をリアルタイムで共有し、仮想空間内で会話や討議を行います。

物理的な距離を超え、より効果的かつ効率的なコラボレーションが可能になります。

建築のプロセスが可視化され、関係者全体がプロジェクトに深く関与できることが特徴です。


② プレゼン | D’s BIM ROOM

D’s BIM ROOM(ディーズ ビム ルーム)は、建築プレゼンテーションにおいてメタバースを活用したプラットフォームです。

建築デザインやプランを3Dで仮想空間に構築し、クライアントや関係者と共有することで、建築物の理解や評価が深まります。

リアルな仮想空間内でプレゼンテーションが行えるため、建築物の外観や内部構造をより生き生きと伝えることができ、クライアントとのコミュニケーションを向上させる効果があります。


③ 教育・シミュレーション | VRiel(ヴリエル)

VRiel(ヴリエル)は、建築教育やシミュレーションに特化したメタバースプラットフォームです。

建築学生やプロフェッショナルは、仮想空間内で実際の建築プロセスを体験し、設計の理解やスキルの向上を図ることができます。

リアルな建築物を再現し、異なる環境条件や材料の変更をシミュレーションすることで、リアルなプロジェクトに近い経験を積むことができます。

VRielは、教育と実践を融合させた効果的な学習環境を提供しています。



4. 建築業でのメタバースのメリット

コラボレーションの向上

メタバースを活用することで、建築関係者は仮想空間内でプロジェクトにアクセスし、リアルタイムでデザインや進捗を共有できます。

物理的な制約を超えたコラボレーションが可能になり、関係者全体が効果的に連携し、プロジェクトの進捗を向上させることが期待されます。


デザインの可視化と理解

メタバースを使用することで、建築プロジェクトのデザインやプランを3Dでリアルに可視化できます。

クライアントや関係者は仮想空間で建築物を体験し、外観や内部構造をリアルに理解できます。

設計の抽象的な要素をクリアに伝え、プロジェクトに関する共通の理解を築くことができます。


プレゼンテーションの向上

メタバースを利用して建築物のプレゼンテーションを行うことで、

クライアントとのコミュニケーションが向上します。

リアルな仮想空間でプロジェクトを共有することで、建築物の特徴や魅力をより効果的に伝え、設計の納得感や興味を引き出すことができます。


リモートワークの促進

メタバースを利用することで、建築関係者は物理的な制約を受けずに仮想空間で会議や協力作業を行うことができます。

リモートワークが推進され、地理的な制約を乗り越えて優れた建築チームを構築することが可能になります。

新型コロナウイルス禍で普及が進んだはずのリモートワークの実施率は、2022年後半以降、低下しています。

それに伴い、リモートワーク希望者の離職率の増加も問題視されており、ニューノーマル時代に合った働き方を実現するためのひとつの方法としてメタバースの利用が挙げられます。



5. 建築業でのメタバースのデメリット

事業化の難しさ

現在のメタバースはまだ新興技術であり、事業化には課題があります。

特に建築業界において、メタバースを具体的なビジネスモデルに結びつける難しさがあり、一部の企業がメタバースを採用しづらい状況が考えられます。


実用化のメリットが薄い

メタバースの導入には労力とコストがかかりますが、実用化による具体的なメリットがまだ明確でない場合があります。

建築業界において、メタバースの導入が具体的な業務改善やコスト削減に繋がるかどうかが検証されていない場合、導入に慎重な姿勢が見られる可能性があります。


セキュリティの懸念

メタバースはオンラインプラットフォームであり、セキュリティ上の懸念が存在します。

特に機密性が高いプロジェクトや情報を取り扱う場合、セキュリティ対策が重要となります。



6. まとめ

メタバース建築は建築業界に新たな可能性をもたらしていますが、導入には慎重な検討が必要です。

メリットとデメリットをしっかり把握し、事業ニーズやプロジェクトの特性に合わせた導入が重要です。

建築メタバースの活用事例を見ながら、これからの発展に期待を寄せつつ、技術の進化や実績の積み重ねが更なる普及を促進することでしょう。

将来的な変革に対応し、建築業界の未来を切り拓く一助となることが期待されます。

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